鏡を見て白髪があることに気づき、カラーや白髪染めなどを検討される方も多いのではないでしょうか。同じ髪を染める点では共通していますが、どうしてヘアカラーと白髪染めに分けられているのでしょうか?今回は、髪の毛に色がつく仕組みや、カラーと白髪染めの違いについて解説していきますので、お悩みの方は参考にしてみてください。

どうして髪が染まるのか?髪の毛の構造と染色の仕組み

まずは髪の毛の構造と髪の毛に色がつく仕組みから解説していきます。

髪の毛は大きく3つの組織でできている

髪の毛は「キューティクル」「コルテックス」「メデュラ」という3つの組織で成り立っています。髪の毛の中心にあるのがメデュラであり、これはやわらかいタンパク質で作られています。

また、メデュラの外側にあるのが「コルテックス」です。ここにほとんどのメラミン色素が含まれており、その種類や量によって髪の色が決まります。

そして、髪の毛の一番外側にあるのが「キューティクル」です。半透明のうろこ状のものが4枚から10枚ほど重なっており、これらが髪の内部組織を守っています。なお、髪の毛を染めるときは、コルテックスに含まれているメラニン色素が大きく関係しています。

髪の毛を染色する仕組み

単純に色をつけるだけのように思われがちですが、髪を染めるためにはまず髪の毛のメラニン色素を脱色(ブリーチ)し、その後色素を入れて発色させる必要があります。ヘアカラー剤にはこれらの作用があり、多くの方が使用しています。なお、ヘアカラー剤は一般的に1剤と2剤の2つに分けられており、それぞれ成分が異なっているため、使用の際は注意が必要です。

1剤には主に「酸化染料」と「アルカリ剤」、2剤には「酸化剤」が含まれており、実際に髪を染めるときはこの2つを混ぜて混合液を作る必要があります。髪に混合液を塗ると、まずカラー剤に含まれるアルカリの力で髪表面のキューティクルが開きます。キューティクルが開くと髪の表面に隙間ができるので、カラー剤が髪のなかに浸透していくようになるのです。

浸透したカラー剤は、最初に黒髪の素であるメラニン色素を壊し、脱色させます。また、髪のなかに浸透したカラー剤は、酸素と結びついて発色するようになりますが、これは徐々に膨らんで大きくなっていきます。膨らんだカラー剤はキューティクルの隙間よりも大きくなり、発色してできた色が抜けづらくなることで髪に定着するようになるのです。

白髪染めとヘアカラーの違いは

白髪染めとヘアカラーの仕組みはほとんど同じです。そのため、白髪染めもヘアカラーの種類の1つともいえますが、若干異なる部分があります。

ヘアカラーは脱色力が強く発色力が弱い

オシャレのためのヘアカラーは、黒い髪を明るい色に染めるのが主な目的です。そのため、メラミン色素を分解する脱色力が強い分、発色力が弱いという特徴があります。なお、市販のヘアカラー剤はすぐに染められるよう、より脱色力が強くなっているものが多く、髪が傷みやすい傾向があるので注意が必要です。

白髪染めは脱色力が弱く発色力が強い

白髪染めは、基本的に白くなった髪を染めるものですから、脱色力はヘアカラーよりも弱くなります。逆に白い髪をしっかりと染めるために、発色力は強くなければなりません。そのため、白髪染めはヘアカラーよりも染料の含有量が多くなっています。また、少量の白髪の方でも黒く染めることができ、自然な仕上がりになるのが大きな魅力です。

少量の白髪なら、一般的なヘアカラーを使用しても違和感はありませんが、白髪が多い方が使用すると色ムラなどの問題があるのでおすすめできません。白髪の量や場所、希望する色などを考慮することが大切です。

また、脱色力は弱いのが白髪染めの特徴ですが、髪へのダメージがまったくないわけではありません。自分で手軽に染めるものよいのですが、ダメージや仕上がりを考えると、しっかりした技術を持ったプロに任せるのが安心といえるでしょう。

白髪染めにはグレイカラーがおすすめ

「グレイカラー」とは、多くの美容室で行っている白髪染めのことです。こちらは白髪をしっかりとした濃いブラウンベースの色に染めます。髪の毛のなかまで浸透する染料を使用しており、一般のヘアカラーよりも1~2ヶ月ほど長く持続するのが特徴です。

また、白髪の量や状態を見てプロが薬剤を微妙に調整するので、髪のダメージが心配な方や肌の弱い方でも安心して染めることができます。さらに、髪が伸びても色ムラが気にならない染め方など魅力的な染め方も可能。色や明るさなどのバリエーションも豊富であり、好みのスタイルが選べるのも嬉しいポイントといえます。

まとめ

白髪染めとヘアカラーの違いは、脱色力と発色力の度合いです。ヘアカラーは脱色力が強い一方、発色力が弱くなっていますが、白髪染めはその逆であり、髪を染める目的によってどちらを選ぶのかを決める必要があります。また、髪へのダメージや仕上がりを考えると、美容室で行っているグレイカラーがおすすめなので、悩んでいる方は信頼できる美容師に相談してみましょう。