髪をきれいな色に染めたいときは、最初にブリーチするのが一般的です。このブリーチの際に、頭皮が痛くなった経験はありませんか?自分の好きな色にするためなら、多少の痛みなら我慢するという方もいるかもしれませんが、我慢しすぎるのもよくありません。
しかし、なぜブリーチすると頭皮が痛くなってしまうのでしょうか?今回はブリーチの仕組みや痛みの原因、痛みを軽減する対策について解説していきます。
ブリーチとは?
ブリーチとは、主に髪の毛の色素を抜くことを意味する言葉です。最近は、ブラウン系に染めるのはカラーリングで行うのが主流ですが、明るい色や個性的な色に染めるときは、基本的にブリーチ剤を使用します。
このブリーチ剤が髪の毛の中で化学変化を引き起こして髪が脱色されます。では、この化学変化はどのように起こるのでしょうか?
どうしてブリーチすると脱色できるの?
ブリーチ剤には「過酸化水素」と「アンモニア」が入っています。まずアンモニアが髪の毛を保護しているキューティクルに反応し、うろこ状のキューティクルを開きます。この開いた隙間から過酸化水素が髪の毛の中に入り込み、脱色させるのです。
また、髪の中にはメラニン色素があります。メラニン色素には、黒褐色系のユーメラニンと黄赤色系のフェオメラニンがありますが、多くの日本人はユーメラニンの量が多くなっています。これが日本人の髪が黒く見える理由で、逆に欧米人はフェオメラニンの量が多いため、金髪になることが多いのです。
髪の毛に入った過酸化水素は活性酸素を発生させ、メラニン色素の化学構造を変えてしまいます。黒褐色系のユーメラニンが黄赤色系のフェオメラニンのような色の髪に変化することで、髪の脱色が行われるのです。では、なぜブリーチすると頭皮が痛くなるのでしょうか?
ブリーチして頭皮が痛くなる原因
ブリーチして頭皮が痛くなる原因は、ブリーチ剤に含まれる「過酸化水素」にあります。過酸化水素は脱色するために不可欠な成分ですが、頭皮に滞留すると「過酸化脂質」に変化し、毛乳頭の細胞を傷つけるようになります。このことで頭皮が熱くなったり、痛くなったりするのです。
過酸化水素は「オキシドール」の別称でもあり、一般的に消毒や洗浄などの際に使われています。市販されている「オキシドール」の過酸化水素の濃度は2.5%~3.5%と規定されていますが、ブリーチ剤では6%の濃度となっています。
このように、ブリーチ剤に含まれている過酸化水素水の濃度は比較的高めとなっていますが、ブリーチした方がすべて痛みを感じるというわけではありません。痛みや熱さを感じるのは個人差があり、体調や頭皮の状態によっても感じ方は異なります。
また、「ブリーチすると髪が抜ける」という声もありますが、健康な頭皮や髪の方がブリーチして円形脱毛症のような症状が出ることはまずありません。ただし何度もブリーチを繰り返している場合、頭皮が炎症を起こし、その結果髪が抜けてしまう可能性は否定できないため注意が必要です。では、髪の毛をブリーチするときに、頭皮が痛くならない方法はないのでしょうか?
ブリーチしても頭皮が痛くならないための対策
頭皮が痛くなる方の多くは、頭皮がアルカリ性になっています。健康な皮膚は弱酸性であり、ブリーチして痛みを感じるということはほとんどありません。アルカリ性の頭皮である場合、以下のような対策が必要になります。
弱酸性の頭皮にする
肌荒れや乾燥肌の人は、肌がアルカリ性になっているので、日頃から弱酸性になるようなケアが必要です。日常的に洗髪で使用するシャンプーは、弱酸性のものを使用してみてください。
また、美容院などでブリーチする前日は洗髪しないようにしましょう。洗髪しないことで髪に油分が残り、頭皮を弱酸性に保ってくれます。さらに、ブリーチ剤から頭皮を保護する効果も期待できます。
ブリーチの刺激を少なくする
ブリーチ剤で頭皮が痛くなるのを予防するために、頭皮を保護するクリームを使ってみるとよいでしょう。また、頭皮にブリーチ剤がつかないように工夫するなど、いくつかの対応策があります。美容室によって方法は異なりますが、痛みが心配な方は、まずは美容師さんにその旨をきちんと伝えるようにしてください。
まとめ
ブリーチをして頭皮が痛くなる原因は、主にブリーチ剤に含まれる「過酸化水素」によるものです。髪の毛に入った過酸化水素が活性酸素を発生させ、メラニン色素の化学構造を変えることで、髪の毛が脱色されます。
過酸化水素は、「オキシドール」の別称で、消毒や洗浄の際に使われる刺激の強いものです。これが、頭皮につくと毛乳頭の細胞が傷つき、痛みや熱さを引き起こします。
ブリーチの痛みを予防するためには、日頃から頭皮を弱酸性にするようなケアが必要です。また頭皮が弱い方は、ブリーチの前に頭皮を保護するクリームを使ってもらうよう、美容師さんに話してみてください。